■ 生活習慣の乱れが動脈硬化を進めている
動脈とは、心臓から全身に血液を送り出している血管のことで、もともとは弾力性があり血液がスムーズに流れるようになっています。
動脈硬化とは、動脈が弾力性を失い硬くなることや、血管の内側が細くなり血液の流れが悪くなって詰まったりすることです。これは加齢に伴い進行するものであり、その危険因子として、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、内臓脂肪蓄積、高尿酸血症、喫煙など、長年の生活習慣が大きく影響していると言われています。
■ 症状が無いからと放置するのは危険
動脈硬化には自覚症状がほとんどありません。進行していくと、脳卒中や大動脈瘤、狭心症や心筋梗塞など、生命に関わる重篤な疾患を起こす危険性があります。
なかには、階段を上がると息が切れる、めまいがする、手足に軽いしびれが出るなど、前ぶれとも言える症状がみられることがあります。これらは、動脈が詰まっている時に起こりやすい症状なので、早めに受診し検査を受けることが必要です。
頸動脈ドップラーエコーにて、定期的に動脈硬化のレベル(IMT内膜中膜肥厚の評価)とプラーク評価を行うことや、ABIや脈波などの検査も実施することが求められます。
■ 動脈硬化症を進行させないために
動脈硬化症の治療は、まず、バランスの良い食事や適度な運動といった生活習慣の修正から行います。日頃から体を動かすことが大切で、ウォーキングや軽いジョギングなど継続的に運動を行うことが動脈硬化に対して予防的、あるいは治療的な効果が現れると言われています。それだけではなく、生活習慣病の予防や治療にも効果的です。
動脈硬化の危険因子である糖尿病、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病の評価を行い、それぞれに対する総合的な治療が必要となります。また、脳梗塞や心筋梗塞などに進行している場合には、カテーテル治療を行うことや、抗血小板薬などの薬剤を継続していく必要があります。